抗がん剤治療をしながら運動できるか?マラソンを走りきった記録(37) 号砲〜序盤〜中盤〜ゴールへ

抗がん剤治療をしながらの冬の練習。

絶対にスタートラインに立つ、という強い気持ちで練習を続けました。

正直ツラい時期もありました。

泣いても笑っても日がすぎていきます。

そして、ついに本番がきました!

スタートからゴールまで、レースの実際を描きます。

1. 序盤の走り

スタートの号砲が轟き、ついにレースが始まりました。

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東京マラソンでは、3万人が走ります。登録(自己申告)記録を参考に、大会本部が早い順にAから10のブロックごとに分けて都庁周りに集合させます。

エリートランナー、記録の早い人たちからスタートラインに並ぶので、私のような遅いランナーがスタートラインに到達する頃には、号砲がなってから10分ほど過ぎてからです。

2014年の初マラソンのときも感動しましたが、2015年、抗がん剤を乗り越えてスタートラインを越えた時はもっと胸に迫るものがありました。

やっとここまできた。

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夜明け前の練習。

寝込んだ日。

食べられなかった日。

美味しいものを目にしながら何の味も感じなかった日々。

アイスグローブの冷たさ、痛さ。

それ以上に支えてくれた仲間の暖かさ。

10キロあたりの市ヶ谷付近では、打ち合わせ通り夫と長女、そして7月に生まれて7ヶ月の孫息子君、次女が応援に着ていました。

やっと見つけて、ポケットに入れてあった「使い捨てカイロ」(いくつも入れているので)を2つ(そろそろあったかくなってきたので)渡しました(もう、いらないと思って)

2. 中盤〜応援の声

品川方面に向かい、折り返し点をすぎて走っていると、どこからか「きよみー、きよみー」と叫ぶ声が聞こえました。

どこにいるのか、姿は見えなかったのですが、後日、職場の同僚だと判明。彼は奥さんが出場していて、私が走ることは2日前にメールで知らせてあったのです。(後日、奥さんと私の「完走祝い」をしてくださいました)

振り向いて声の方向に手は振りましたが、目を合わせることはできず。

でも、再び感謝の気持ちがわき上がってきました。

寒い中、立ってランナーの姿に目をこらし、声を限りに叫んでくれる人がいる。

本当にありがたい。

マラソンをしていてつらくなってくるのは自分の場合24キロをすぎてから

浅草で折り返し、そこから銀座に戻るまでがすごく辛いところです。

歩いてしまいたい誘惑との長い長い闘いの時間です。

30キロをすぎて、ああ、ここから去年はもう一段気合いをいれてスピード上げることができたんだなあ」と思いながらも、今年の自分は「歩かない」ことを維持するだけで精一杯。

次々と、歩くランナーが増えてくるのもその頃です。

でも、あと8キロ行けば、仲間がいます。
幟を立てて待っている。絶対に絶対に歩かないで、たどり着くぞ。

一歩一歩足は上がらなくなってくるけど、幸い痙攣はありません。

大阪マラソンでは途中で足が痙攣し、歩くことさえつらかった。でも、今回は大丈夫。まだ走れる。

応援の仲間は、佃大橋を越えたあたりにいます。橋は太鼓型になっていて、登り坂

このあたりで登り坂になると、多くの人が歩いてしまいます。

でも、そこは意地で走ります

走れる練習をしてきたのだから、登り坂であろうと走れるはず。自分を信じて走ります。

そして….

いました!!幟を立てて、首を長くした仲間が。そこに、約束通り。
笑顔で手を振ります。
ありがとう。ありがとう。私、約束守ったから。みんながいたから、ここに来ました!

そして、仲間の応援のあとは職場の友人と家族と待ち合わせた深川第5中学の前を目指します。

職場の友人。赤ん坊をつれたもう1人の友人も。ありがとう、ありがとう。

そして飯田橋から電車で移動してきた夫と、今度は次女と三女。
ありがとう、ここまで来たよ。ありがとう。

3. そしてゴールへ

残り4キロ、普段の練習距離より少ない。あとは、どんなことをしてでもゴールに向かう。大丈夫。ゴールするぞ!

応援に力を得て、必死で走り続けます。

ほら、あと195メートル!!

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5時間33分。
1年前より1時間近く遅いゴール。

マラソンデビューも多くの人に支えられたけど、2015年のレースはそれ以上に多くのひとに支えられたゴールでした。

コース図。2017年よりオリンピックに向けて変更

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)