朝ラン?夜ラン? 健康にいい?悪い? 走る時間を考える ブックレビュー「長生きするのはどっち?」

1. 仕事帰りの皇居ラン

私のような勤め人がマラソンを続けるためには、出勤前に走るか、仕事後に走るか、いずれにしても日中は練習できないので、朝か夜かに走る以外ありません。週末だけの練習では、どうしても足りません。

2年前までは週1−2回、仕事帰りに7時ごろから皇居を走り、週末は、少なくとも1日は午前中に走るということでマラソンの準備をしていました。

大会前は「練習は3日空けない」ことを自分ルールにしていたので、ウィークデーのうち1、2日は必ず走らないといけません。

しかし、定時退勤しても平日は1時間走るともう8時。シャワーして帰宅して9時半か10時頃にご飯準備して、食べて、片付けするともう11時。

なんとか12時前には寝る、こんな生活でした。

睡眠時間は練習のない日でカバーします。

こんなに暗くなってから走り始めます↓

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2. 朝ランに切り替えたきっかけ

2014年6月に見つかった乳がんで、放射線治療をすることになりました。

放射線治療では、ウィークデーは毎日照射を行います。

私の場合6週間実施するのでその間は、職場の上司にお願いして朝、照射後に出勤し、終業時間をその分後ろにずらしてもらいました。

職場まで1時間半かかりますので、朝どんなに早く治療(早くても8時半開始)に行っても職場に着くのは10時半。

終業時間は7時ごろ。それから1時間半かけて皇居に走りにいくのはかなり難しい。治療で身体にかかる負担を考えても、仕事後のランニングは難しい、という状況になりました。

その時は10月末に大阪マラソンを控えており、治療をしているからといって参加を取りやめたくはありませんでした。

そこで、せっかく普段よりは遅く出勤できるのだから、放射線治療前の時間を利用し、朝5時すぎから走ることにしました。

週2回は、朝ランです。5時起き、5時半スタートで1時間、家から近くの駒沢公園まで走っていき、ジョギングコースを3周走り、また走って6時半に帰宅、ほぼ10キロ走れます。その後シャワーを浴びて支度して7時半には放射線の順番を早くとるために家を出ます。

8時に受付が開始するので、それまでしばらく病院外で並びます…

放射線治療後も朝ランを週2回続け、週末はロング走、という練習で、そのまま2015年2月の東京マラソンに出ました。

放射線治療がおわってからは出勤時間に間に合うように朝4時半起き、5時スタート6時すぎまで1時間、約10キロ走る練習を週2回にしました。夜は早寝を心がけました。

日の出の美しさは、朝ランの何よりのご褒美↓

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3. 夜ラン、朝ラン、どちらが身体にいい?

さて、朝ラン、夜ラン、両方経験してみましたが、どちらが身体にいい、あるいは悪いでしょうか?

運動しないよりはしたほうがいいのかな、とは思いますが、身体のため、というならば実はそこまでやる必要はないのですね。

むしろ、身体には負担になるようです。

身体にいいこと、という観点からは、仕事や通勤などで身体をこまめに動かす、通勤では座らないなどの日常的に「身体をよく動かす習慣」のほうがよほどいいようです。

お医者さんが書いた次の本

長生きするのはどっち?」(秋津壽男)では、このような問いを投げかけています。

「すべての年代を通してもっとも突然死が多いスポーツは何でしょうか?」

正解は「ランニング」です。

そして、もう1つ、「早朝ランニング」と「夜間のウォーキング」デメリットばかりなのはどっち? という問いでは、「早朝ランニング」はやめなさい

と記載されています。

朝は、交感神経が優位になり、血圧が上昇し、夜間の脱水も加わって血液が凝固しやすい状態になっています。

そんなときに運動すると脈拍が増えることで血圧がさらに上昇し、心筋梗塞のリスクが非常に高くなるそうです。

せっかく運動しているのに、身体には悪い、というお話になってきましたね。ショックです。

4. 長生きしたいなら…?

秋津先生は、「長生きしたいなら、上半身も使うノルディック・ウォーキング」のような上半身も使う方法」と薦めておられます。

とはいえ、「適切なランニング」は、健康によい、とアメリカの医療専門雑誌には書かれているようで、その適切な、というのは

①走行距離が1週間に32キロを超えない(20マイル、と原本では書かれているのでしょうね)

②走る速度が時速8−11.2キロ

③走る回数が1週間に2−5回以内

だそうです。私の場合、走る時間を除いては「適切範囲」ですね。

そもそも、私の場合は「長生きしたいから」「身体にいいから」走っている、いるというよりも「目標達成」の過程を楽しんでいます。

「突然死」が怖いから走るのをやめる、というのであれば人生の楽しみはどんどん少なくなっていくでしょう。

5. 様々な意見や事実、事例を知った上で、できること

自分にとって何より大事なのは、達成感の獲得。朝であれ、夜であれ、練習を終えた後はとても気持ちがいいです。

朝などは眠いのを我慢して起きる、そのストイックさに自分でも「よーやるなー」と感心?してしまいます。

夜は夜で「仕事帰り、ホントは早く帰りたいんだけど、それでも走るんかい?」と、やはり自分を褒めてやりたい気分になります。

そこで、できることは、朝ランでは起き抜けにはきちんと水分を補給し、ゆるゆると走り始める。

夜ランでは練習後は暴飲暴食はしない、睡眠時間を確保する、など少し気をつけてマラソンチャレンジを続けられる身体を作っていこうと考えています。

そもそも、私のランニングは「長生き」を目的とはしておらず、目標達成の過程やチャレンジを楽しみ、筋肉を鍛え(生活の質の向上。やはり日常の事務業務だけでは筋肉は衰える一方だと思います)

なにより、マラソンを通じた素晴らしい仲間との交流を目的としています。

あとは自分の生活リズムのなかでリスクとどう折り合いを付けていくか、そこに課題があると考えています。

というわけで、結論としては、自分は「生活にあわせ、とちらでもOK」ということになりました。

週末練習の足りない分は、やはり平日に工夫して補うしかありません。

秋津先生の本は「健康常識」といわれている様々な事例に「本当はどっちなんだろう」という問いを投げかけておられます。

いいように見えて実は「健康には悪い」こともたくさんあります。

「知らないでいることは怖いことなんだなあ」と気づかせてくれる、という点でいい本だと思います。一読をオススメします。

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)