【母の老い支度】難聴から幻聴へ… だんだん機能が衰えていく母をただ見守るしかないのか?

1. 80歳が境目だった

80を超えた頃から母は耳が遠くなりました。

積極的だったライフスタイルも変わり、

カラオケを止め民謡を止めいろいろな社会活動から身を引いていきました。

最近では好きだった卓球も行かなくなったそうです。

どんどん世間との付き合いが減っていってしまい、

近所に知り合いもどんどんいなくなりました。

実家のあたりは都会の過疎地なので

もともと近所に住んでいる人が少ないのです。

2. 幻聴の始まり

そしていつの頃からか夜中にカラオケの音が聞こえると言い始めました。

近所で一晩中カラオケをやっていると言うのです。

また最近では隣のテレビの音がうるさいと文句を言いに行ったそうです。

先月(2018年10月)私が帰省した時は

テレビの音を最大限にまで上げ自分は寝ていました。

鉄筋コンクリートの家で、近所も鉄筋。

あまり外には聞こえて響いていないと思いますが

木造住宅だったら大変な事件に発展しそうな音です。

近所の音がうるさいのではなく自分の耳に残った音がうるさいのだと思います。

しかし、本人には全く自覚がなく、

絶対聞こえている、ボケてないと言い張ります。

インターネットで調べると難聴の人は

幻聴が聞こえるようになりやすいと言うことでした。

②音楽幻聴 音楽の幻聴がしばしば高齢者で認められる.他の幻聴 (例えば幻声)に伴うこともあるが,単独で出現するこ とも少なくない.女性に多く,難聴との関連が指摘され る.持続時間は長く,眠っている時間以外ほとんど一日 中持続することもある.外的空間への定位は明確ではな く,自分の頭の中に聴こえると感ずる人も少なくない. 内容は器楽曲,歌,あるいはメロディーのついた声など で,子供の頃から知っているメロディーが多いが,知ら ない曲,何か流行歌のようなもの,太鼓のリズムだけと いったものもある.病識はある.当初はそれ程気になら なくとも,症状が持続するようになると苦痛が増大する. 感覚障害のある幻覚としてシャルル・ボネ症候群と同じ く感覚遮断と脳の機能低下が病態生理に関係があると考 えられている。

老年内科医に必要な精神神経疾患の知識

日本老年医学会雑誌 49巻 5 号(2012:9)「高齢者の幻覚・妄想」  古茶 大樹より

3. 年をとるということは…

歳をとると言う事はなんと過酷なことかと暗たんたる思いがこみ上げてきました。

私は若い頃、朝長正徳先生という

アルツハイマー病の臨床医のアシスタントをしていましたが、

自分が後にこのように介護に関わるようになるとは

想像もしていませんでした。

誰にでも老いは訪れます。

若くして亡くなった父はさぞかし無念ではあったと思いますが、

父のようにガンで少しずつ身体が壊れて行く怖さもあれば

母のように少しずつ頭の中が壊れていく怖さもあります。

それが老いというものでしょうか。

誰もが「豊かで幸せな老後」を夢見ますが、それは

なかなか手にはいるものではない、と感じます。

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)