遠距離介護の終焉 母の看取り(4) 告別式

家族がそろう

母のおかげで、娘たちが揃った。

3ヶ月児を母乳で育てている三女も、母のために

駆けつけてくれた。

赤ちゃんは、今日は婿殿のワンオペ。

次女も、4ヶ月児と2歳児を婿殿に任せてきてくれている。

時代は変わったものだ。ありがたい。

昼頃には、私たち夫婦、3人の娘が揃う。

母のおかげだ。

おかあさん、みんな来てくれたよ。

エンバーミングされた母の頬に触れる。

冷たい。

だけど、とっても綺麗だ。

娘たちが「さすが、クレドポー」で磨いたおかげだね、と

いう。

クレドポーは、資生堂の高級化粧品で、

デパートでしか扱わないラインだ。

母がこの姿をこの世に保つのはあと数時間だけ。

いま、母にかける言葉は、「ありがとう」しかない。

告別式

ご住職の声はよく響き、なかなかいい読経で進行する。

そして、それは無駄に長くなく、いい時間で終わった。

出棺の準備が始まる。

ありったけの花で母を包む。

花畑の中にいるみたいだ。

ピンクの百合で母の顔の辺りを包む。

本当に美しい。

棺桶に蓋がされ、霊柩車の乗せられる。

喪主を務めたので、霊柩車には私が乗せてもらった。

火葬場は会館から車で10分ほどだ。

住職のお経が終わり、母は炉に入れられた。

本当のお別れだ。

収骨、そしてひとりになる

こどもたちは、それぞれ孫たちのお世話があるので

霊柩車が出たあと、東京に戻った。

なので、斎場でしばらく待った後、6時ごろ、

夫と2人で収骨した。

すっかり小さくなってしまったね。

夫と居酒屋で夕食をとり、彼はホテルへ(仕事があるのだ)、

私はお骨をかかえ、実家に戻る。

今回、実家に戻って以来、開け放している仏間、

仏壇に母のお骨をおく。

お線香に火をつける。

母、やっと家に帰ったね。ごめんね、施設に入ってから

ずいぶん長い時間がかかった。

事務処理

帰宅してお葬式の会計、相続のための

書類を確認したり、という事務処理を始める。

現金・預金はほとんどないけれど、

不動産があるので、これから大変だ。

とりあえずは、明日、戸籍謄本とってくるかな。

事務処理をしているとすっかり夜中になってしまった。

明日は寝坊だな。20キロ走りたいのに…

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)