「みなさん、平均5回ぐらいは来ますよ」…それでいいのか?相続登記

大抵の人が初心者

社会勉強と一つとして、相続登記と相続手続きを自分でやろうとしています。

父が亡くなった時(1991年)は、子育て真っ最中だったこともあり、すべて税理士さんに
おまかせしました。
今回は、子育ても終わり、時間的にも余裕があり、好奇心も手伝って自分でやることにしました。
相続は、大抵の人が初心者。知らないこともいっぱいあるでしょう。面倒臭いことも
多いはず。だからこそ、ちょっと挑戦してみたくなりました。

相続登記対策は念入りに

令和6年4月より空き家問題対策のため、相続登記が義務化されますが、それに先立って、法務局が混む前に自分は終えたいと思い、準備を始めました。
母の出生時からの戸籍謄本を出生地の自治体から取り寄せるなど、必要書類を着々と揃えました。
必要書類一覧
  1. 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの経緯が分かる戸 籍関係書類(戸籍の記録事項証明書(戸籍謄抄本、除籍謄抄本))私の場合、母が出生したふるさと(和歌山県)の自治体から取り寄せました。
  2. 登記申請書
  3. 相続人全員(今回は私だけ)の戸籍関係書類(戸籍謄抄本)
  4. 相続人(土地・建物を相続した人)全員の住民票 の写し

いざ、大阪法務局へ

自分の不動産のある地域の法務局に届け出ることがどうやら原則みたいだったので
私の場合はまず大阪法務局に行くことにしました。そして、別物件がある大阪法務局天王寺出張所、2ヶ所に
出かけて行って提出するのかなあと思いました。
しかしながら、あらためて法務省が出しているマニュアルを見ると、
「作成した登記申請書及び登記申請書に添付する書面 (添付書面)を、その申請する不動産の所在地を管轄す る法務局(登記所)の窓口に持参する方法又は郵送する 方法により、登記の申請をします」と書かれており、どうやら書類が整っていれば郵送でもできそうです。
しかしながら、マニュアル(「登記手続きハンドブック」)を見つけたのは、
第一回の相談が終わってからだったので、そのことは知らず。とにかく「行かないといけない」と思っていたのです。
いずれにしても、まずは電話で問い合わせをしました。
電話をして驚いたのは「あなたは何回目の相談ですか?」と聞かれたことです。
そして、電話の相手は、「相続登記をするには、(一般の人は)まず相談員に「相談する必要」があり、そのためには「事前予約」しないといけない、と言うのです。
いきなり法務局に行って書類を「提出し、登記する」なんてことはできない、という前提でした。
「大抵の方が5回ぐらいきますよ」と電話の相手はいいます。「(相談するのは)初めてです。そんなに何回も行かないといけないような手続きなのでしょうか?」「そうですねー。一回では終わりませんね」と、何度も相談に来ることが「当たり前」のように話すのです。
それを聞いて、いや、むしろ、1回、あるいは2回で済むようにしっかり案内してあげたほうがいいのでは?と思いました。そして、さらに「1回の相談は20分だけですからね」と。(そんなややこしい話だったら20分では無理だろう!)
そんなに何回も大阪に行けない、そう思って、出来うる限り必要書類を取り揃えて行きました。申請書も、法務省のホームページを参考に自分で書きました。
登記事項証明書も必要だと(ホームページには書いていなかったが)、電話の相手が言うので近くの法務局に取りに行きました。オンラインでも取れると書いてありましたが、ちょっと面倒臭い方法でしたし、オンライン請求の利用時間が限られていたので出かけていって入手しました。

不親切な窓口業務

約束の日時は3月15日午前9時半。大阪法務局には早めに到着していましたが、窓口の人に聞くと「(予約時間の)9時半まで待ってください」と言われました。でも、相談員と思しきおじいさんは、相談窓口のブースにいて、何もせずにじっとしています。
予約が必要なぐらい混んでいるならば、早く始めたり、何回もくる必要がある人がいるならば、相談時間をせめて30分にしてもよくないですか?と疑問が湧きました。
9時から9時半までの間、私が待っている間も、予約なしで訪ねてきた人が二人いました。その方々に対しても、特に案内もなく、やっと出てきた女性は「予約制なんです」「普通の人は5回ぐらいきますよ」と同じような案内をします。
いや、だから、必要書類の説明ぐらいは予約なしで案内して、一通り揃えさせ、そして「予約により」それらの書類が揃っているか、きちんと検閲したほうが効率良くないですか?そしてせめて2回で済むような丁寧な案内をすべきだと思います。結局、「何も分からないから」直接法務局にきた人は、パンフレットをもらうだけで帰ってしまいました。
無駄足を踏ませています。
そして、9時半。私が相談員のところに行くと、早くきはったらよかったのに」というのです。いや、だから、別の人が待てといったから、となんだかいきなりお互い喧嘩腰になってしまったのです。「私は東京から何度もこれません!」「そんなん、あんたさんの都合でしょ!」と売り言葉に買い言葉です。

結局、一回では済まなかった

 

結論として、いくつか指摘事項があり、一発提出とはなりませんでした。残念!

以下、その内容を記しておきます。

1. 登記申告書の「登記目的」の修正

 

私の場合は、父が亡くなった時にすで2分の1持分を相続しているので、単なる相続登記ではなく、登記の目的が、「〇〇(母の名前)持分全部移転」という名称になるそうです。
そのような場合のサンプルは、法務省の「記載例」には、見つけられませんでした。

2. 相続関係説明図は添付書類として別紙に

 

法務局が出しているサンプルに従い、相続関係説明図(家系図)を記載したのですが、「これは、添付書類なので、別用紙にしなさい」
とのこと。申請書本体と同じページに書いてはいけないのです。それも、ホームページに「別用紙に」と書いておいて欲しかったな。いや、あとから見つけたパンフレットにはそのようなニュアンスで書いてあったけど。

3. 相続関係説明図の家系図

 

婚姻関係について、父と母の間を一本線で結んだのですが、「ここは二重線です」と指摘されました。記載例を見ると、確かに二重線でした。(夫婦の絆は、親子関係(一本線)より強いらしいです

4. 課税価格と登録免許税

 

上記のように、私はすでに持分2分の1を所有しているため、ここに記載するべき私の「課税価格」は、納税通知書に記載されている課税価格の2分の1、なので登録免許税は、私が計算して出した税額の2分の1、でした。(せっかく自分で計算したのに。まあ、安くなったからヨシ、ですかね

5. 登記人の住所(ここで問題発生!)

 

父が亡くなったのは1991年、当時、私は世田谷区に住んでいました。登記もその時にしたので、登記事項記載証明書の住所は世田谷区です。その後、海外を含め、あちこち転々としています。
さて、ここからが大変!なのです。

自分の証明

「戸籍謄本の附票を取ればいいですよ」と、相談員は簡単に言いました。すぐにコンビニに行き、マイナンバーカードを使って附票をプリントしましたが、一つ前の住所しか記載されていません。
平成10年ごろ(?)に戸籍の改製があり、自治体は、5年で附票を廃棄できるようになったのです。しかし、その後、令和元年6月から附票は戸籍と同様、除籍・改製から150年保存となったそうです。やっぱり私のように困った人がおおぜいいたからではないでしょうか?5年廃棄と150年保存、極端な改正ですね!
でも、私の場合は「廃棄された」ほうに入ってしまっています…

ながーーい宿題

 

というわけで、私は父が亡くなってから33年の自分の住所の変遷を証明しなければならなくなりました。
世田谷区にいた大野清美と、現在の住所にいる大野清美が同一人物である、ということを一つ一つ住所を辿って「証明」しなければならないのです、33年分!
私の登記事項証明書を見て、相談員は、「戸籍謄本の附票」をとればいい、といいましたが、それは、私の場合、書類としては不十分なので「相談員のあきらかな間違い」です。私の話をより時間をかけて聞いてくれていれば、「附票」は5年で廃棄になっていることがわかるはずですから。
ならば、戸籍の附票に代わる手段を教えてくれるべきではないでしょうか?それが相談員の仕事のはず。「はい、20分です」と、相談は終わってしまいましたが、法務省が相続登記を「義務化」するならば、もっと親切に「できる方法」を教えるべきです? だから「一般の人は」5回も行く羽目になるのです。お互い、時間の無駄ではないでしょうか?
法務省のパンフレットには、「司法書士や弁護士に聞きましょう」と大々的に書いてあります。これって癒着?士業のみなさんを応援するための法律改正ですか?一般人は「できない」前提で、「さっさとプロに任せてね」ということでしょうか?
というわけで、私の場合は「ながーーい」宿題をもらって再挑戦することになりました。

郵送、オンラインもあり

ところで、書類さえきちんとしていれば、「郵送」でもいいし、また、わざわざ提出先の法務局や出張所に「行かなくても」いい、ということを「最後に」相談員さんは教えてくれました。
もう2度と不親切な大阪法務局には行きたくないので、帰り道で私は東京の法務局に相談予約をしました。(そこでも、「何回目ですか」と聞かれましたが…)基本、法務局の人は一般人を馬鹿にしているのかなあ。
また、オンラインでもできるようです。ただし、こちらは挑戦していません。書類の添付が難しそうなので。

登記人住所変更も義務化

今年、すなわち令和6年から相続登記の義務化、そして、8年からは、不動産を所有している人については、住所が変わったら登記人住所変更手続きも、義務化されます。(変更手数料一件につき1000円)
私のように、登記したまま、ほったらかし(転勤したら法務局、なんて思いもよらなかった。国民の義務でもなかったし)の人は大勢いると思います。また、転勤などであちこち行っている間に自分の戸籍の附票が自治体によって廃棄されている人も大勢いるでしょう。
不動産をお持ちで、転勤など住所変更の多い方は、今後、お引越しの際には「電気、ガス、水道、市役所(区役所)、そして「法務局」へのお手続きが必要になりそうです。
それにしても、「自分の証明」、意外と難しいものです。

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)