初めての口腔外科–扁平苔癬だった「長年の口内炎」

初めての口腔外科

長年の悩みであり、2016年に掲げた自分自身の大きな課題:「高齢者の矯正治療は可能か」、という問題を解決すべく、思い切って長年通っていた歯医者を替えました。そうすることで、副次的に、長年苦しんでいた「口内炎」という問題を解決する糸口が見つかりました。

新しい歯医者さんに行ったところ、私の口腔内の粘膜の荒れを懸念し、口腔外科に紹介状を書いてくださったのです。

口腔外科という診療科目があることは知っていましたが、内科や外科のようにそれほど一般的ではありません。仕切りが高い印象で、また、口内炎が痛い時もしばらく我慢すればなんとかなるので、長年通っていた歯医者さんでは軟膏をもらうだけでひたすら治るのを待つ、ということを繰り返していたのです。

抗がん剤で苦しんだ口内炎、実は扁平苔癬の悪化

一昨年は抗がん剤の副作用として「口内炎」に苦しみました。でも、今から考えると実は「扁平苔癬」が悪化し、粘膜のびらん、潰瘍が酷くなっていたのです。乳腺科が口腔外科との連携、あるいは歯科との連携をしている病院にかかるとベストなのですが、なかなかそこまで考えてくれる医者はいません。

乳腺外来で「口の中が痛い」と訴えても、「副作用としてあまりに当たり前の反応」なので、まったく対応をしていただけませんでした。ただ、痛みを我慢するしかなかったのです。そして、抗がん剤が終わったら大抵の人が治ってしまうので、口内炎や口の中の痛みは放置されてしまうのでしょうか?

新しい歯医者さんが紹介状を書いてくださったその口腔外科は、なんと、自分がかかっている乳腺外来のほんの10メートル先でした。抗がん剤を受けているときに、先生方が連携してくれていれば、無駄に苦しむ事はなかったのに…今更ながら悔しい思いをしました。

口内炎、ではなかった?

私の症状を見た口内炎の先生、よく言われる口内炎ではなく、「扁平苔癬」という病名を教えてくれました。おそらく、その可能性が高い、と。

なんと、口内炎と、扁平苔癬とは、発生機序がまったく違うそうです。何十年と通っていた歯医者さんは、そのような病名ひとことも言わなかった…

口内炎は、いわゆる外傷。扁平苔癬は、一説には免疫系の病気だとか…あるいは、口内でたとえば、金属の被せものなどの一定の刺激を受け続けた結果できるものだそうです(原因は特定されていないそうです)。

口腔扁平苔癬の症状とは?

「扁平苔癬は、粘膜が角化し、炎症を起こす慢性の粘膜疾患です。口の中だけに限ったものを指す場合に、口腔扁平苔癬と呼びます。口腔扁平苔癬は、まれにがん化することがあります。

口腔扁平苔癬では、口腔内の両方の頬粘膜(きょうねんまく)に見られることが多く、舌、口唇に、レース状の白斑ができ、周囲の粘膜に赤みをともないます。びらんや潰瘍ができることもあり、触れると痛んだり、食べ物がしみたりします。そのほかの症状として、口の中が荒れたり、出血したり、味覚障害や摂食障害(痛みで食事ができない)を引き起こすこともあります。」

ヘルスケア大学「口腔扁平苔癬とは?」より)

そう、私の場合、「特徴のある白色の線条が口腔内両側に出現」し、それがときどきひどくなって周囲の粘膜がただれたりしていたのです。

かつて、1994年から1997年までアメリカにいたころにも1度、検査をしたことがあります。そのときは、口内粘膜の細胞を一部切り取る「手術」でした(麻酔をし、細胞をとったあとは縫いました)。しばらく固形物を食べる事ができず、医師は「アイスクリームを食べていてください」と言うので、3日間ほどアイスクリームを食べて過ごしました。

3日間アイスクリームを食べるというのは、お菓子の国にいるようで最初のうちはとても嬉しいものですが、3日目にはさすがに苦痛です。その間は口腔内の粘膜を切り取った痛みで何一つ活動ができませんでした。

そのときは、悪性の細胞がない、という診断でその後は放置していたのです。

しかし、その後もほぼ毎年、冬になると自分では「口内炎」と思っていた、実は「扁平苔癬」が悪化していました。とはいえ、口腔扁平苔癬には、確定的な治療法はなさそうで、ビタミンAの投与や、ステロイド剤を塗布するような対応をしているようです。

適切な医者と適切な治療

長い間、口腔内の不具合について、間違った方向で苦しんでいたように思います。

抗がん剤治療をしていたときに、早く口腔外科に紹介してくれていれば酷くなる前に適切な軟膏をもらったり、少なくとも痛みを改善する治療をしていただけたかもしれません。

また、長年お世話になっていた歯科の先生がもっと早く口腔外科に紹介状を書いてくれていれば、とも思います。

20年以上、1年のうちの一定期間(大抵は免疫力が落ちる秋から冬)、「口内炎」(実は扁平苔癬)に苦しんだあげく、今年になって一大決心をし、「矯正治療をする」という方向からアプローチをし、思い切って歯医者を替えたことで適切な方向に向かうことができたようです。

今回、一応、口腔内粘膜のサンプルをとった細胞診の結果は、悪性ではありませんでした。(ので、これ以上、特別な治療をする必要はありません)

今後は、適切な診断に基づいて適切な対処法、治療がおこなわれていくと考えられるので、少し安心して口腔内のヘルスケアに努められると思います。

たまには、思い切った行動、変化をもたらすことが大事である、ということをこの一例から学びました。

 

 

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)