森永宏喜 著 全ての病気は「口の中」から!歯が痛くなる前に絶対読む本
を読みましたのでご紹介します。
1. 本書の主張
本書が繰り返し主張していることは、
- 歯科定期検診の重要性
です。
実際、多くの高齢者の生活の質を左右しているのが、「入れ歯」かどうか、つまり「楽しく、快適に食事ができるかどうか」なのです。
そして、入れ歯にならないために大事なのが「普段の歯の手入れ」
自分の経験からも、たとえまだ自覚症状がないとしても、
歯医者さんに行きつけていくことがいかに大事かがわかります。
風邪や腹痛のような明らかな症状はでていなくても、
歯磨きをしたときに歯茎から出血があるだけで、歯医者に行く理由は100%あります。
2. 私の体験ー歯根嚢胞で激痛!
28歳の時だったか、激しい歯の痛みで、どうしようもなくなり、
当時一歳だった娘を抱えて歯医者を探し回ったことがあります。
前歯の根元に「歯根嚢胞」というのができて、それが膿の出口を探して暴れまわっていたのです。
ズキンズキンと襲う痛み。
「ラーメン」さえ、痛くて、沁みて、前歯では噛みきれない状態でした。
どの歯医者に行っても、日本で一番歯科治療が進んでいる(と思われる)東京医科歯科大学に行っても、「これは抜かないといけない」と言われましたが、
20代で前歯を「入れ歯」にすることは絶対したくなかったため、
どの歯医者も患者である自分から「見限って」
結局当時住んでいた東京から大阪の実家近くの歯医者に行きました。
子供を預けて歯医者に通うことも難しかったのです。
そこは昔からお世話担っていたお医者さんで、「抜かない」というのが信条でしたが、
結構な荒療治をされ、前歯は「継歯」となり、その後、何十年と私の劣等感の元になりました。
継歯では、歯の根元はありますが、歯茎から出ている部分は人工物です。
実は歯茎の中の歯を支える歯槽骨は当時からかなり溶けてしまっていて、今でも前歯の1本では食べ物を「引きちぎる」ことはできず、
歯医者さんに言わせると「もう諦めましょう?」というぐらいで、歯そのものは「動揺」(動く)状態です。
が、自分からは抜きません。
3. 心と歯
歯の健康状態は、心の反映のような気がしています。
歯根嚢胞を発症したころ、私は「完全ワンオペ育児」と
「母の嫁姑」問題で「愚痴の聞き役(今でも愚痴と泣き言の聞き役であることに変わりはないけど)」
というストレスフルな生活を送っていました。
毎日のように愚痴を吐き出すために電話をかけてくる母。「祖母がああいった、こういった」など、毎日毎日。
若かった自分は「なんとかしてあげないと」と随分熱心に聞いていたり、同情したり、アドバイスをしたり、
なんとかしようと策を考えたり、とかしていました。
そういったストレスが、口内の免疫システムを悪化させ、突然、口内のばい菌が暴れたのだ、と
今では思っています。
他の色々な大人の病気も、実は多くの場合、ストレス、心の状態が原因ではないかと
医療には素人ながら思っています。
その母が今も元気なのは、きっと私にいろいろ吐き出していたからなのでしょうね?
4. 口内炎はガンを知らせていたのか?
歯根嚢胞で荒療治をした後、私は歯周病治療を得意とする歯科医を探し当て、
その歯科医には1991年、三女が生まれたころから昨年、2016年までお世話になりました。
その歯科医の先生は、徹底的な「長時間歯磨き」を指導する先生で、
歯磨き指導を受けて歯磨きをしている間はなんとか歯を持たせることができていました。
その先生に定期的な検診を受け、問題がおこるたびにお世話になっていましたが、
残念ながら先生もご高齢になり、あまり「歯磨き指導」に力をいれてくれなくなったため、
また、実は長年の懸案であった歯の矯正治療に踏み切ったため、昨年、歯医者を替えたのです。
また、その先生にかかっていながら、冬になると口内炎をよく発症していました。
口内炎については、その先生はあまりケアをしてくれませんでした。
2014年に乳がんと診断をうけましたが、その前の年はとくに口内炎がひどく、
医学的な確証はないものの、身体の免疫力が低下しているよ、という警告だったのかもしれません。
本書の先生は、その点、「歯と身体」の関係についてもっと踏み込んだ研究を重ねておられて、私が常々思っていた
「歯」と「体調」の関係、また、もっと踏み込んで「歯」と「認知症」や「糖尿病」との関係まで研究されているので、
やはり歯と全身はきわめて密接な関係がある、ということを再認識しました。
5. 歯と食べ物・栄養
第3章のタイトルは、「食べていると確実に死に近づく食べ物」となっています。
まあ、基本的には「糖質」のことかな、と想像はつきましたが、
本章は章の内容と章のタイトルが必ずしも整合していないように感じました。
1日1日生きている、ということは「食べていても」「食べていなくても」、「確実に死に近づいて」いるので、
タイトルそのものが今イチ、という印象を受けます。
内容も少し具体性には欠けていて、「ではいったい何を避け、何を食べるといいのか」という整理ができていないと思います。
とはいえ、「オーソモレキュラー栄養医学」という、
いままで聞いたことのない考え方や必要なときのサプリの重要性などにも触れていて、
この章はもう少し整理されていたら、素人にもわかりやすかったかもしれません。
6. まとめ
私は20代にものすごく痛い体験をしたため、歯の健康は「健康維持」や「人生の質を保つ」ために、
もっとも重要な要素の一つ、であると考えています。
少し触れましたが、25年間通った歯周病の歯科医のもとを離れ、
矯正歯科に転院したのも、もっと「歯の健康状態」を良くする方法はないか、と考えた結果です。
1年かよって、乱杭だった下の歯はだいたいキレイに並びました。
もともと前の歯医者では、「歯周病」があるために矯正治療は反対されていました。
しかし、「歯周病をしっかり管理し、
具体的にはしっかり歯磨き・デンタルフロスをして歯の清潔を保てば不可能ではない」
ということを身をもって証明することができたと思います。
2016年10月の写真↓
2017年1月から始めた矯正治療7か月で以下の写真のように!
歯並びが少しでもきれいになることで、歯周病が改善され、
人生100年時代ののこり40年、上の歯にまだまだ不安はあるものの、
噛める人生が残っているのではないかと思います。
人生の喜びは、「美味しいものを」「楽しく」「気のあった仲間・家族」と食べること。
是非、本書を読んで歯や歯茎と病気の関係を意識し、
「定期的に歯科に通い」
「デンタルフロス」などで歯の手入れを怠らず、
「必要な場合は栄養改善をおこない」
入れ歯になりにくい、または入れ歯があっても定期検診で
こまめに調整することで快適な食生活を送っていただければ、と思います。