英語情報誌「イングリッシュジャーナル」という雑誌を
発行し、英語学習教材を出版している「株式会社アルク」では
「英語学習アドバイザー」という資格制度を創設しています。
英語学習アドバイザー認定制度とは?(認定制度解説の一部抜粋です)
- 英語学習アドバイスのプロ
- 適切・的確な英語アドバイスと学習者に応じたカウンセリング・メンタリングができる
プロの英語学習アドバイザーを養成・認定する制度
そのワークショップが開催される、ということで行ってきました。
1. ワークショップを受講した理由
TOEIC得点アップを目指す現在・将来のクライアント様に
私が提供できる最大の貢献は、「的確なアドバイスで
学習者の学習習慣を変えるきっかけになること」だと
考えています。
英語そのものを教えることはもちろん大切ですが、
私は英語で「人生を変えたい」と思っている方に
そのきっかけを提供できれば、そしてもちろん「成果」としての
目標点数アップにつながれば、私の仕事はdone!
です。
そして、できるだけ伴走していきます。
でも、伴走には自分もそれなりの「力」が必要です。
どんな頃合いで走ればいいのか、
そのことをワークショップを通じて学びたいと思い、
受講しました。
2. ワークショップの流れ
ワークショップは2日にわたって行われます。
学ぶ項目は
1日目
- アドバイザーのスタンス
- アドバイジングフローと三つの柱
- 傾聴スキル練習
- 近年の英語教育事情
2日目
- 課題振り返り
- 実践練習とピアフィードバック
- 英語資格試験の関連情報(TOEIC)
- 現役アドバイザーのトークセッション
- モニターセッション(2人)
- モニターセッションの分析とディスカッション
- まとめ
です。この稿では1日目に学んだことを振り返ります。
3. 1日目の学び① アドバイザーとは?アドバイザーの心構えとは?
アドバイザーとは?
教師とアドバイザーの違いについて触れます。
学習者は自転車に乗っている人です。
教師は行き先を指し示す人、そして
アドバイザーは補助輪、後ろで押す人です。
そして、自分で乗れるようになったら、アドバイザーの仕事は
おわり。
つまり、自律(自立)学習者を育てることがアドバイザーの使命となります。
自立学習につなげるには2段階のアプローチをします。
2段階の最初は反応型、最終的には能動型になります。
それは、
相手を受け入れ、相手に反応し(反応型)、そして働きかける(能動型)
ということです。
そのステップとして相手に示すものは3つ。
- 受容:価値観はいろいろ。相手の価値観を受容する「あ、そういうふうに思うんですね」
- 関心:アドバイザーは英語学習について関心をよせる(個人的関心ではない)
- 共感:具体的に(いいときも悪いときも)相手の立場に立って考える
です。
具体的なアドバイス
「英語がきらい」「苦手」という人は
世の中にはたくさんいます。でも
「やらなければいけない」状況に追い込まれている人も
大勢います。
そのような人にどういう視点でアドバイスをすればいいのでしょうか?
- きらい、苦手になったのはいつ、なぜか?理由があるはずです。
- 遡って、違うやり方でいったらどうか? とアプローチしてみます。
そのアプローチに成功し、
なんとか、その人を学習に向かわせたものの
残念ながら人のモチベーションは「変わります」
- 「聞いても、読んでもわからない」
- 「即実力アップしたい!」のに…なかなかアップしない➡️モチベーションが下がります。
こんな時はどうしましょう?
「そもそも」に戻って尋ねてみましょうか。
- あなたはどういうところを目指しているのですか?
こういったところを深掘りしていくと、学習者が自分で考え、
英語に対する方策を自ら考え始めるかもしれません。
そうすれば「自転車」には乗れるわけです。
そこまでの道のりを「補助輪」をつけて自転車を押していくイメージ、
それがアドバイザーの役割です。
(自転車を降りてしまわれると「一巻の終わり」となってしまいますが…)
アドバイザーの心構え
いくつか大事なことはありますが、そのなかで最重要なことは4つ。
- 時間厳守
- 自分が発した一言一句が人生に影響を与える責任を自覚する:アドバイザーの言葉には必ず 意図がある
- アドバイザー自身が話しすぎない
- 学習者を信じるー認めて褒めて励まして
だそうです。肝に銘じておきます。
4. 1日目の学び② ワークの例
なぜその学習法をアドバイスするか?
最初のワークでは、「なぜその学習法をアドバイスするのか?」
について考えます。
ワークの内容は、
ケース1. 読めばわかるのに、耳だけではわからない
現在の勉強法:英文を見ながらのリスニング、そしてシャドーイング
ケース2. 言いたいことがとっさに出てこない
現在の勉強法:会話フレーズの暗記、英会話リピーティング
ケース3 リーディング速度が遅い
現在の勉強法:英文の和訳、音読
以上のような悩みについて、今回参加した8名の受講者が
それぞれ意見を出し、「なぜ、その方法を提案するのか」
というところまで深掘りします。
勉強法は1つではないので、各受講者の経験や知識が
活かされるところです。
しかし、ここで注意しなければならない点は
いわゆるteacher’s belief=アドバイザーが自分が
経験してよかったことを一方的に相手に押し付けない、
ということです。
あくまで相談者が主体。
このことは忘れてはいけません。
さて、密度の濃い授業の疲れを癒すお昼ご飯です。
5. 1日目の学び③ アドバイジングセッションのフローについて
ここでは、事例をもとに、相談者との会話で得られた情報を
- 精神面
- 学習面
- 環境面
の観点から分析し、アドバイス、そして最終的には
その方にあった具体的な学習計画に繋げます。
フローとしては、
- ラポール形成
- 情報収集
- 提案
- 学習計画設計(いつ、どこで、だれと、何を、どのように)
ここで大事なことは、その人の主訴を汲み取る
ということです。
会話していくうちに、話がそれたり、広がったり…
なかなか本音を言わなかったり…ということがあります。
話の中から、その人が英語学習でもっとも
やりたいことをきちんと汲み取ることが大事です。
6. 1日目の学び④ 傾聴スキル
アドバイスをするにあたっては傾聴はとても大事な
要素となります。
できるだけ以下のようなことをこころがけ、相手が
話しやすい状況を作ることが大事です。
- うなづき 大きく
- 相づち
- 繰り返し どこを繰り返すかが大変大事
- 要約、言い換え
- 沈黙
傾聴スキルについては2人ひと組になり、
- 1人がしゃべり続け、もう1人がまったく無関心を装う体験
- 1人が3分で悩み体験を話し、もう1人が1分のアドバイスを行う
といった練習もしました。
7. 近年の日本の英語教育事情
一日目のワークショップの締めくくりとして日本の英語事情について
解説いただきました。
- 2045年 シンギュラリティ問題(AIが人間の知能を追い越す)
- 2030年 付加価値の高い産業は海外にいってしまう(経産省レポート)
などといった近未来の大きな変革を前に
英語教育では何を発信していくか、ということが
とても大事になってきます。
2020年度入試では英語は4技能が問われるようになります。
今の高校生がどれぐらい英語力をもっているのかという点については
文科省HP日本の高校3年生の英語能力
で解説されていますが、
これからの英語力は「知っている」から「できる」へ
転換していくでしょう。
知識、技能、判断力、行動力を問うような入試改革が行われ、
発信力が大事になってきます。
入試改革における英語習得の方向性は
「論旨明確に思考し、端的にまとめ、
相手の立場を理解してその相手に論旨明快な表現を伝える」
力が必要になってくるそうです。(読売教育ネットワークより)
簡単には身に付きそうにありません。
こうした「自己調整ができる学習者を育てる」
その手助けができるように、私も切磋琢磨していこうと思います。
8. まとめ
一日の振り返りをすると長文になってしまいました。
読み疲れた、あるいは最後まで読めなかった方もいらっしゃるかと
思い、申し訳ないです。
2日のワークショップのうち、1日目がやっと終わりました。
2日目のワークショップはこちらに記載しています。
1日目の終わりの懇親会。おいしいイタリアンを堪能しました。