本書は、「英語学習アドバイザー」の資格取得のための
課題の1つである「課題図書」の感想文ですが、
せっかく読書したのでシェアしたいと思います。
1. なぜ本書を選んだか
副題に「外国語学習成功者の研究」とあり、いわゆる達人の
ノウハウを集大成し、分析した本です。
「学ぶ」の語源が「まね」であるように、自分自身も、また
今後の学習者のためにも
「なぜ」「いつ」「誰と」「何を」「どのように」学ぶのが
効果的か、自分自身の「ひきだし」を増やすためにも
有効であると予想し、本書を選びました。
そして、本書は実際に「学習法」の「宝石箱」でした。
2. 内容考察
本書では、まず「語学の天才」として18カ国語以上を使う他言語使用者の
カトー・ロンブ(ハンガリー人)や日本人で外国へ一度も行かず
ドイツ語、フランス語をマスターした関口存男(つぎお)の学習記録などを
研究し、その2人に共通する外国語学習の法則性を見いだそうとしました。
しかし、そのような「天才」ではなく一般の学習者がどうすればいいかということを
考察することはより多くの学習者にとって有益になる、と著者は感じはじめ、
いわゆる達人と言われる方々の学習方略を研究したものです。
著者は、以下のような疑問を投げかけ、章を進めていきます。
- 高度なレベルでの外国語習得は、幼少期から学び始めなくては不可能なのか
- 海外における外国語学習成功者の研究は何を教えてくれるのか
- 日本人外国語学習成功者の記録は何を教えてくれるのか
- 見いだされた法則性は、これまでの学問的な知見と上手くかみあうのか
- 外国語学習の方法に関する法則性の提案は可能なのか
こうした流れのなかで、現在の私にとってポイントとなるのは3. の問いです。
筆者はこの問いについて達人と
言われる方々の
具体的学習法に関するインタビューを実施しました。
まとめがp134-136に掲載されています。
様々な項目に対する達人の回答を
「なぜ」「いつ」「誰と」「何を」「どのように」を軸にして
私なりにまとめてみますと
- 「なぜ」:学習の必要性という観点から回答者は「あった」と答えています。何かをマスターするのに目的があるのはまあ、当たり前とは言えますが、「ただただ楽しい」という回答もあったようです。
- 「いつ」:寝ても覚めても。常に英語に触れるということを人生のある時期、集中的に行っています。
- 「誰と」:できるだけ話す機会を増やすように自ら探しています。
- 「何を」:例文を覚える、音読するということを集中的にやっています
- 「どのように」:徹底的に繰り返す
といった学習姿勢が浮かび上がってきます。
こうして見ると「学問に王道なし」という言葉がまさにその通りだったなあと。
目の前の達人がいかに軽やかに言葉をあやつっていようと、
その裏には地道なたゆまぬ集中的訓練があったのだ、と
実感します。
3. 英語学習アドバイザーとしてどのように活かすか?
英語学習アドバイザーに相談にくる方は、
「達人」になりたいと思っている人は滅多にいない、
あるいはほぼ皆無かもしれません。
そもそも、達人の場合、ほとんどが
オリジナルの方法で、あるいは先達を真似て
達人になる素地をもっていて、自ら求めて
勉強法を見つけるでしょう。
そして、
おそらく多くの相談者は
「必要に迫られ」
「仕方なく」
「短時間で」
成果(資格試験、受験、etc.)を求めて、そしてできるだけはやく
その「勉強義務」から解放されたいと思われている。
なので、アドバイザーとしては
「達人のように」寝ても覚めてもを求めるのではなく、
相談者には「ゴール設定(なぜ)」を明確にしていただき、
その上で「いつ、誰と、何を、どのように」を決めてもらいます。
それでも、達人の方法は、基本的に本当に地道で、「普通の人」が
取り組めるものばかりです。(繰り返しの音読など)
目的を果たせば誰でもそのゴールに至る達人、と考えて
(英語の達人になる必要はない)、達人の伴走をする、
そういう立場で相談者を後押ししていきます。
4. まとめ
私自身まだまだ達人の域にはほど遠い。
しかし、「英語を極める」と心に決めたからには
地道な学習を続けるつもりです。
今はスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式でおこなった
2005年の有名な演説の暗記に努めています。
いつかどこかで披露できるようになりたいものです。