【ブックレビュー】ランニング王国を生きる Out of Thin Air 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと

1月末の日経新聞のランニング特集で紹介されていて、すぐにKindleで購入。

マイケル・クローリー「ランニング王国を生きる」文化 人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと

を読みました。

エチオピアと言えば東京 オリンピックのマラソンを裸足で走り抜け金メダルを獲得したアベベ(41歳で脳出血で死去)が有名です。

昨年(2021年)の東京オリンピックでは、ケニヤのキプチョゲがぶっちぎりで金メダル取りましたが、

アベベは1960年ローマ、1964年東京で2大会連続で金メダルを獲得しているし、

オリンピックのマラソンでは

エチオピアはケニヤの2倍の金メダルをとっていると言います。

このエチオピア人の「走ること」に対する特性はどこから来ているのか?

エチオピアに移住し、自らも一緒に走りながら

エチオピア人ランナーの強さの秘密を文化人類学的に分析したのが、本書です。

高地を利用した特徴的な練習

エチオピア人のランニング練習は、

  • アスファルトの上での練習は、2週間に一度ぐらいしかしない(足を痛めるから)
  • 長い列を作って一糸乱れずに同期したフォームで走る
  • 前を走るランナーの「足を追いかける」そのため、「目を閉じて耳をすませば走っているのは一人だけのように聞こえる」ほどである。

という特徴があります。なるほど、と思い、早速翌日の練習は、

いつもの練習場所(駒沢公園)では、ランニングコースではなく、

草地を選んで走りました(足の負担を軽くすることと、

出ている木の根っこなどにつまづかないように精神を集中するため)。

普段の練習に比べ、確かに負担は軽かったようです。

そして、その後参加した東京30Kのレースでは、

できるだけ集団にくっついていって、

目線を前の人の踵に合わせるように走りました。

おかげで、顎が上がらず、また、前を走る人のエネルギーをもらって

(エチオピア人ランナーはこんなふうに考える)

自己ベストの記録を出すことができました。

この方法、かなり自分には合っていると思いました。さて、

来月の東京マラソンでは、自分がついていけるような

集団を見つけられるでしょうか?

走ることで人生を変える・人生が変わる

エチオピアのランナーは、繰り返し、作者(マイケル)にこう言います。

「自分を変えるには、誰かと一緒に走らなきゃダメだ。自分のペースじゃなく、

相手のペースに合わせて走るんだ」

ふむふむ。一緒に走っている時に遅れたら、それが遅れ癖になる。

ちゃんとついていくことも地力をつける訓練なのです。

私は、この点が弱い。つい、「どうせ遅かったのだから…」みたいな

負け犬根性がついてしまっている。で、ずるずると後退してしまうのです。

そして、「なぜ走るのか」という問いに対しては、

エチオピアのランナーはみんな「人生を変えるために走っている」と答えるといいます。

「ランナーになると決意したものは、成功して

大金をつかむためにランニング中心の生活を送っている。

…都会で生きる目的を失っている若者と同じ道を選ばないために、

走ることを選んだ」

ランナーが海外のレースで優勝すると、家が一軒建つそうです。

ホテルを建てて、家族が経営している、という話もありました。

エチオピアでは、走ることは「仕事」なのです。

「何十年もランニングを続けている人でも、その理由を聞かれると、困ったような顔をして肩をすくめることがある。まるでそれを知っているのは初心者のうちだけであり、長年続けていると、走る理由なんてわからなくなるのは当然だと言うように。それでも強いて言うとするならば、それは〝快適さへの抵抗〟になるのではないだろうか。(p.60)。

確かに、快適な生活はもちろんすごしたいけれど、

それだけではダメになります。この頃合いが難しいですね。

そして、確かに、私も走る理由を聞かれたら…

色々あるけど一つではない、って感じがします。

私がどんなに走っても家は建たないけど、自分のなかに

何かを得られる、そんな気持ちをもっています。

森での練習

また、エチオピアのランナーは、練習の多くを舗装路ではなく、

森で走ります。時々、ハイエナに遭遇することはあるらしいけれど…

そして森で走ることをとても大事なことだと思っているのです。

「エチオピアのランナーが森での練習を大切にしていることについて尋ねると、

彼は笑いながら〈わかるだろう?〉というニュアンスで両手を軽く挙げ、

「彼らは、高地の森の中を走れば木々から

エネルギーをもらえると考えているんだ」 (p.124). Kindle 版.

森を走ることは、舗装路に比べ、木々の根っこやでこぼこもあり、

筋肉をいろんな角度から鍛えるということもあるけれど、エネルギーをもらえる。

素敵です!これまで、舗装路ばかり走っていましたが、

これからはもう少し(凸凹道で怪我をしないように気をつけながら)、

自然のエネルギーをもらえる場所(木々の多いところ)を選んで走ってみたいと

思いました。

まとめ

3月6日の東京マラソンを前に走ることについて

ヒントになるようなことはなんでも読んでみたかったのですが、

参考になりました。レベルは全くちがうけれど、

「走ることは生きること」、走る人たちは互いにそんな共感をもって

繋がっているのだなあ、とあらためて感じました。

私も読んだ村上春樹さんの本が引用されていたことも興味深かったです。

「作家の村上春樹が、ランニングと書くことについての考察をまとめた自著のタイトルを、レイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々が語ること』をもじって『走ることについて語るときに私の語ること』とした (p.60)

なるほど、あの作品は、「愛」へのオマージュだったのですね。

走る人には(走らない人にも?)オススメの本です。

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この記事を書いた人

大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)