相続登記顛末(2024年4月から義務化ーみなさんにも関係ありますよ!) その1準備編

相続登記を自分でやってみた

昨年(2023年)12月9日に母が90歳で亡くなりました。

2019年8月から施設に入り、コロナでほとんど会えない3年を経て、

やっと普通に面会ができるようになった矢先、2023年10月25日に体調を崩し

施設から病院へ。闘病は、長期戦を覚悟していたところがあっという間になくなってしまいました。

父が亡くなった時は何もわからず、相続税の手続きも、相続登記などもすべて人任せ。

でも、今回は、自分が死んだ時に、こどもたちが「めんどくさっ」とあまり

言わなくて済むように(ここはわかりませんが)、そして

好奇心もあり、自分でやってみたいと思いました。

まずは電話で「相談予約」

登記といえば、法務局ですが、

法務局に行って、懇切丁寧に対応してくれることは

まず、ないといっていいでしょう(偏見だったらごめんなさい)。

法務局には2回(夫の相続登記もあったので、それを含めると3回)、実際に行きましたが、

会社関係の人、不動産関係者以外では、少なくとも、相続などの登記に関しては、

「あまり素人のくるところじゃないなあ。司法書士さんとお役人の世界だなあ」と

感じました。まあ、市役所とはちょっと違い、敷居の高いところです。

でも、みなさん、もし、親御さんが不動産を持っていたり、あるいは自分が

持っていたりすると、今後はなじみの場所になるところですよ。

今年(2024年)の4月から相続登記は義務化、そして、さらに、近々、登記人に住所変更がある場合は、

転居のたびに登記人住所変更の手続きが義務化されますからね。

さて、私が最初に法務局に電話したときは、こんな感じの会話となりました。

「相続登記をしたいのですが」

『では、予約をしてください』

「は?」

『相続登記は、まず、『相談』から始まります。』

「書類を持参するだけではいけないのですか?」

『普通の人は、だいたい5回ぐらい(相談に)来はりますよ』

(大阪弁で「来ます」ということ)

「え、5回ですか?」

『で、あなたは何回目ですか?』

「初めてです」

『では、–月–日–時はどうですか?』

(大阪法務局では、一回の相談は、20分、と決まっている(らしい)。20分すぎたら、後に人がいなくても「追い出され」ました。東京ではひとわく30分でした。)

そのときに登記に必要な書類(ホームページなどに記載されている)

と共に、

登記事項証明書ももってきてくださいね」と、言われました。

「それをもらうのにどれぐらいかかりますか?」

「あ、それは機械ですぐにでますので、5分ぐらいですよ」とのこと。

そういう書類についても知らなかったので、まずは電話してよかった、と

思いました。

それにしても、平均5回、という言葉に「そんなにややこしいのか…」と

驚きました。

でも、東京に住んでいるので、そう何回も大阪には行けません。

なので、「絶対一回で済ませてやる!」と密かに決意しました。

その時は、電子申請のことも、郵送申請のことも知らなかったので、

とにかく書類を揃えて管轄の法務局に「届けなければならない」と思っていました。

こうして、私の相続登記体験が始まりました。

揃えた書類

法務局のホームページを熟読しますが、かなりわかりにくい、というのが正直なところです。

相続人が多かったり、あるいは相続でもめている、とかそれぞれ色々事情があって

ややこしいケースがあるので、全部のケースについて書ききれない、

ということでしょう。HPは、ごく一般的な案内になっています。

それでも、まず、やるべきことは、市役所/区役所で書類を集めまくることです。

被相続人については、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、

住民票の除票(または戸籍の附票)、

相続人については、戸籍謄本(抄本)、固定資産税課税明細書、住民票などです。

以下にまとめます。

  1.  (相続人)私に係る書類

母と私の関係を証明する私(相続人・私1人)の戸籍謄本(現在の家族関係・婚姻により、

現在の夫を筆頭とする戸籍に入ったという証明。現在の本籍地自治体に請求。

マイナンバーカードがあれば、コンビニで入手可能)

私の住所を証明する住民票(現在の住所地自治体に請求)

(マイナンバーカードでコンビニ発行可能)

私の除籍謄本(私の父を筆頭とし、その父母のもとに生まれ、

婚姻により父の戸籍から抜けたという証明。

父を筆頭とする戸籍がある大阪市に請求)

  1. (被相続人)母 (仮名)山田ゆき子

出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本が必要

①原戸籍 母が生を受けて、初めて戸籍に記載されたもの。

ここから母の人生は始まります。昔の戸籍は家父長制のもとで作られていたため、

母の出生は、母の祖父(仮名:丸太郎)を筆頭とする戸籍のなかで、

丸太郎の子の1人である母の父・(仮名:角太郎)が妻を娶り、

角太郎を父、その妻(仮名:角子)を母、その六女であり、

この原戸籍上の筆頭者・丸太郎から見ると「孫」という表記で登場した

ときから始まります。(母の故郷である和歌山県●●町役場に請求

改製原戸籍 次に丸太郎(母の祖父)一家の子どもたちがそれぞれ

婚姻などで別戸籍となり、丸太郎と長男角太郎(母の父)を

中心とする戸籍ができます。(和歌山県●●町役場に請求

除籍謄本 その後、丸太郎がなくなり、丸太郎長男・角太郎を筆頭とする戸籍ができ、

その子どもたちの1人であった「角太郎の六女」である私の母・ゆき子が

婚姻により除籍(その家の戸籍から消除されました、ということ)、

除籍謄本に載ることとなります。

(「昭和30年12月19日・夫(仮名:山田一太郎)と婚姻により除籍」

と記載されています)和歌山県●●町役場に請求

除籍謄本 私の父・「一太郎(仮名)と私の母・ゆき子(仮名)が一家を構え、

父母の旧住所地(大阪市内)を本籍として「一太郎」を筆頭とする戸籍が作成されます。

その戸籍から、一太郎とゆき子の長女であった姉が亡くなり除籍、私が婚姻により除籍

父が亡くなり除籍、そして母が本籍を当時住んでいた住所地に移したところまでの

経緯が記載されている除籍謄本ができます

(ゆき子が最後に本籍を置いていた大阪市中央区に請求)。

この書類は、姉が死亡により除籍され、こどもが私一人になった

(相続人は私以外にはいない)という事実を証明するために重要です。

⑤改製原戸籍 父・(仮名)山田一太郎を筆頭とする、

平成6年法務省令による改製前の戸籍謄本。

(ゆき子が最後に本籍を置いていた大阪市中央区に請求

⑥改製後に作成された戸籍の除籍謄本(平成6年法務省で戸籍の改製が行われ、

本籍を中央区とする一太郎とゆき子の戸籍ができ、一太郎が死亡、

そしてゆき子が死亡したことを証明する書類

(ゆき子が最後に本籍を置いていた大阪市中央区に請求

(法務局のHPでは、「被相続人の登記上の住所」が「戸籍謄本」等に

記載された本籍と異なる場合に必要となります、と書かれています。母の「登記上の住所と

戸籍謄本上の住所は、同じだったので本来いらないはずですが、「必要」と言われました)

母に関係するだけで7種類の書類が必要でした。

請求先、かかった時間、ほか

相続人がおおぜいで、しかも被相続人があちこち動いていたらかなり面倒です。

私の場合は母の故郷である和歌山県●●町役場、実家があり、母が住民票をおいていた大阪市中央区

そして、自分の住所地の自治体(住民票と本籍地が同じなので)の3カ所だけで済みました

(あとで落とし穴がありました。のちに詳述します)が、それでもそれぞれに自治体に請求し、

手数料として郵便小為替などを送ったり、返送用封筒を同封したり、となかなか面倒くさい手続きでした。

そのような書類を集めるのに、ひと月はかかりました。

そして費用はというと、書類の作成費用、郵送費用など、あちこち出したので

正直、覚えていない!です。他の手続きでも同様の書類が必要だったので、

郵送費を含め、数千円単位でかかったと思います。

次に登記申請書の作成編を「その2」で記載します。

 

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)