抗がん剤治療と運動:抗がん剤治療をしながらマラソンを走りきった記録(15)

放射線治療から抗がん剤治療までのはざまで

放射線治療が9月下旬に終わり、抗がん剤治療に進むかどうか、悩んでいました。

病院に行く時は、たいてい自分1人で行きます。あまり家族を連れて行くことはしません。
病気がちだった父は病院が怖くていつも母について行ってもらっていました(そのくせ偉そうに怒鳴りまくっていましたが)。そんな姿を見て育っているので、「自分のことは自分で始末しないと格好悪い」と思っています。

今回は、しかし、とても決断が重いので、一緒に行ってもらうことにしました。以下、夫の記録を転記します。私が聞くよりかなりきちんと聞いてくれているので、助かります。

医師の名前はM医師とします。「はは、ちち」とあるのは、夫から子どもたちへ(娘3人、いずれも社会人です)の報告を念頭においていたため、です。

夫による医師との応接記録


日 時: 平成26年10月6日(月)14時45分~15時15分
場 所: 東京医療センター2階 乳腺科診察室
先 方: M医師
当 方: はは、ちち

(当方)抗がん剤治療に当たり、その副作用が心配なため、副作用の強さと抗がん剤治療を行わない場合の再発可能性について伺ったうえで判断したい。
まず、現状について、①腫瘍の大きさ、②グレード、③リンパ腺転移の有無、④ホルモン受容体の有無、⑤HER2の有無、⑥リンパ管浸潤の有無等について伺いたい。

(先方)①腫瘍の大きさは1センチ、②グレードはⅢ、③リンパ腺転移はなし、④ホルモン受容体は陽性、⑤HER2は陰性、⑥リンパ管侵襲は一応なしだが疑ってはいる。湿潤性微小乳頭がん(micropapillary)である。

(当方)ルミナール分類だとどうか。

(先方)ルミナールB(HER2-)となる。

(当方)1期のがんに化学療法が必要なのか。

(先方)1期のがんであり、通常なら化学療法をしないということもあるが、マイクロパピラリーの場合は再発率がやや高いので、化学療法が望ましいと考える。増殖値(Ki67)も40であり、高い。

(当方)再発リスクはどれくらいと考えるか。

(先方)通常の乳がんで15%前後であり、マイクロパピラリーでありKi67の値が高いことから、多少上がって25%というところではないかと考えている。

(当方)抗がん剤でそのリスクが半分に下がるということか。

(先方)抗がん剤治療とホルモン剤治療の両方をやって、リスクが半分(12.5%)に下がるというのが経験値。どちらか一方だとそれほど下がらない。
治療効果はあくまで確率の問題であり、何もしなくても75%の人には再発はなく、治療をしても12~13%の人には再発する。個人個人の患者さんにとっては再発するかしないかなので、100%か0%である。患者さんにとって難しい判断ではあるとは思う。

(当方)抗がん剤のリスクについて伺いたい。発がん性があると聞いたが、如何か。

(先方)発がん性はある。ただしそのリスクは再発を防ぐメリットと比較して大変低い。おそらく2桁違う。

(当方)免疫低下・骨髄抑制の問題についてはどうか。

(先方)大きな問題が生じるほどに抵抗が下がったものはない。

(当方)嘔吐・悪心はどうか。

(先方)最近の薬はそれほどひどくない。嘔吐感を抑える薬も処方する。

(当方)脱毛はどうか。

(先方)これは必ず起こる。ただし、治療が終われば元に戻る。

(当方)抗がん剤を投与する場合、どのような薬を使う予定か。

(先方)1種類か2種類か、どちらにしようかと考えている。普通はアンスラサイクリン系薬剤とタキサン系薬剤を併用する。この場合、4回ずつ計8回となる(3週間×8=24週間)。タキサン系薬剤のみという選択肢もある。この場合、6回となる(3週間×6=18週間)。

(当方)ハーセプチンは使うか。

(先方)HER2が陰性なので投与しない。

(当方)副作用を軽減するため、投薬量を抑えることは可能か。

(先方)そのようなことはやったことがないので、効果はわからない。

(当方)患者が希望した場合に、どうか。

(先方)規定量の10分の1にしたりしたら、そもそも正当な治療かどうかが疑われて保険診療と認められない可能性が出てくるのではないか。

(当方)1回目の投与で強い副作用が出た場合にはどうか。投与量を減らすか。

(先方)強い副作用が出た場合には、30%減にするとか、それでも副作用が出たら更に30%減にするとかいうことはある。その結果、50%程度になることもあるが、最初から50%にするということはない。

(当方)このような状況なら、抗がん剤を選ぶ人と何もしないことを選ぶ人の割合はどれくらいか。

(先方)高齢者でなければ抗がん剤の投与を勧めるし、実際にもほとんどすべての人が抗がん剤の投与を選んでいる。
どうしますか。

(当方)タキサン系の6回で受けたい。〔以下、日程調整〕

(以 上)

今読んでも、なかなか怖いシーンだな、と思います。(自分では)なんとなく医師に説得されたという雰囲気ですね。素人には、考える材料がほとんどないために、選択の余地は実際はあまりないのです。

抗がん剤治療の前に

週末からは、夫の海外(インド)出張。私も一緒に行く予定で準備を始めました。
また、脱毛に備えて髪を短くし、ウィッグの購入準備を始めました。

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この診察のあと、9月27日に実家を久しぶりに訪ね、高校時代の友人と20キロ走をしました。大阪マラソンはひと月後。
友人は夫妻でマラソンをしており、この時、「石切神社」のお守りをわざわざ持ってきてくれました(涙でました)。練習不足で20キロはきつかったけど、一緒に走ってくれてありがたかったなあ。10月の大阪マラソンは、この友人夫妻と一緒の出走を予定していました。

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)