抗がん剤による脱毛用、賢い医療用ウィッグ(女性用かつら)の買い方

抗がん剤治療では、ほとんどの場合脱毛は避けて通れません。

髪がない間のかつら、医療用ウィッグは必需品。

でも、医療費でのカバーはなく、全額自費です(今のところ)。

上手な買い物をして、お財布にも心にもやさしいウィッグが

買えるといいですね?

実は冒頭の写真は髪がなかったときに完走した東京マラソンのときの写真です。ウィッグはつけていませんが、帽子をつければ不自然さはなさそうですね? でも、いつも帽子を被っているわけにもいきません…

1.  抗がん剤治療開始までの準備

2014年6月に乳がんを告知され、三大療法と言われる「手術、

放射線、抗がん剤治療」を受けました。

抗がん剤治療を勧められた時、医師は「副作用として脱毛がある」

と私に告げました。

「かつらを用意しなきゃ」と医師の言葉を聞きながら

ぼんやり考えていました。

7月に手術、8月から9月にかけて5週間は放射線治療をしました。

予定されてはいたものの、抗がん剤治療を受けるかどうかには大きな葛藤がありました。

医師に抗がん剤治療は断ろうと「決心」し、面談の時間をとってもらいましたが、

逆に「僕は迷いなくやります」と説得されてしまいました

覚悟を決め、2014年9月治療に通っている総合病院の美容・理容室を

診察の帰りに訪ねました。

かつらの準備をするためです。

病院の理容室には大手のA社が入っており、

理容師さんもA社の方でした。

何着か試着し、手入れの手間も考えてショートヘアのウィッグを買いました。

ウィッグに合わせて髪も短くしました。

ウィッグに替わったときに「違和感」がないようにするためです。

ヘアカットは、その理容室でしてくれました。

ウィッグをつけるにも、慣れが必要なので髪があるうちに

練習をします。

髪があるうちから、時々職場にはウィッグを被ってでかけました。

地毛の髪型とほとんど変わらないので、ウィッグと気づかれることは

ほとんどありませんでした。

むしろ、「ショートヘア似合うね」と褒めてもらいました。

2.  ついに抗がん剤治療開始

抗がん剤治療は11月に開始しました。

最初の抗がん剤投与のあと、「TC療法ハンドブック」に書かれている

注意書きのとおり、

ほぼ2週間で脱毛が始まりました。

TC療法(パクリタキセル・カルボプラチン療法)
*パクリタキセルはどうやって効くの?
通常、細胞は細胞分裂をすることで増殖します。
分裂する速さに差はありますが、がん細胞の増殖も同じです。
パクリタキセルは、この細胞分裂に必要な微小管に作用することで、
細胞の分裂を阻止してがん細胞が増殖することを抑え 死滅させます。
*カルボプラチンはどうやって効くの? 
細胞が分裂する時 、DNAの合成が行われています。これは、がん細胞が
分裂する時にも起こります。カルボプラチンは、がん細胞に取り込まれて、
DNAの合成を阻止し、がん細胞の分裂を止めることでがん細胞を死滅させます。
(国立がんセンター中央病院資料より)

髪がなくなることがこれほどつらいことだとは

思いませんでした。

髪がなくなることでこれほど表情が暗くなるとは

思いませんでした。

あ、ほっぺたもむくんでいます。眉も薄くなっています。

sはげ

それから9か月、再び地毛で外に出歩けるようになるまで

「自分が自分でない」「偽物の自分」のような気持ちがいつも

どこかにありました。

本当は私、「禿げてるの」、そんなことを知らない人に

言ってしまいそうな

折りに触れ、そんな意味のない衝動に襲われていました。

3. かつら(ウィッグ)の準備と選び方・買い方

がんと告知されると、患者はそれなりに忙しいです。

治療方針に沿って様々な準備が必要です。

特に容姿が変容するかつらの準備は、もし「抗がん剤治療を受ける」と

決まったら、できるだけ早くすることをおススメします。

s点滴

前述のように、私はかつらは、病院にある理容院で用意しました。

金額は27万円(オーダーではない)

相談する人もいないなかで「ウィッグ」についてあれこれ比較したり、

あるいは他のところで見積もりをするなどの手間ひまをかけることはできませんでした。

病院内のA社の社員さんはとても親切で親身になっていただけるし、

ウィッグをつける前後のカットを含めた手入れについても

「ウィッグ料金」に入っていたので

そのような選択もあると思います。

でも、もっと安価なウィッグを入手する方法がなかったかしら、

と調べるようになりました。

実際に使ったのは私の場合8か月ぐらいです。

(抗がん剤治療を3週間おきに6回受けました。

最後の治療が2015年2月末。7月には地毛で再デビューしましたのでウィッグ8か月、髪がそろうまでに5か月です)

もう少し安価で、さらに贅沢を言うなら2種類ぐらいあっておしゃれできれば、と思いました。

医療用かつら(ウィッグ)、でいろいろ検索してみました。

そうして見つけたのが以下のサイトです。

アクアドールという店舗です。➡️つむじが自然!超リアルウィッグ
アクアドールさんの画面、しっかり見ました。
主にでてくる女性は若くてお人形のような方々、が気になりますが、「ミセス」のものもあるようです。

実店舗は東京(御徒町と大阪)。
では、地方の人は? 大丈夫。宅配試着ができます。

お値段は2万円以下のものもあります。私のウィッグが10個買えます!!

それでもお財布には厳しいですが、少しでも前向きに生活できるための

サポートとして、医療用ウィッグは必要です。

医療用ウィッグを買うための準備と装着中の注意まとめ

  1. 抗がん剤治療を受けることが決まったら、できるだけ早くウィッグの準備をする
  2. カタログ、インターネット検索、試着をする(いろいろなスタイルを楽しんでくださいね!)
  3. 髪がある間に装着の練習をする(重要!)
  4. ウィッグをとっているときに被る帽子やバンダナ、スカーフも準備(おしゃれを楽しむつもりで!)
  5. ウィッグの手入れについてもチェック!シャンプーや、調髪、毛先が傷んだりするので時にはカットも必要です!

4. 実はウィッグはこのようになっている

今もとってある、そしてたまにはおしゃれに使っても…と思う私のウィッグ。

これは2015年冬。ウィッグのときの写真です。よく似合っているでしょ?

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地毛に戻った時はすぐに片付けてしまいましたが、

久しぶりに出してみました。ケース入り。

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髪が残っている時は、ネットを先に被り、地毛をおさえます。

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ネットは、締めたり緩めたりできるゴムベルトがついています。

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地毛があるときはこうやって地毛の体積を小さくします。

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前髪部分の裏にはピンがついていて毛髪が残っている時は

髪にひっかけてはずれにくくすることができます。

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後頭部の襟足のところにはマジックテープが埋め込んであります。

これも、ずれたり、落ちたりしないようにとの「固定具」です。

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髪がなくなると、ウィッグは「頭の丸みと前髪部分にはいったゆるいワイヤー、

そして上の写真のようなマジックテープ」で頭に固定します。

日常生活では容易に外れませんが、球技のような運動はやや難しいです。

普段、家に帰るとスタンドにかぶせて保管します。

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5. 実際のウィッグ生活…困ったこといろいろ

  • ヘルメットのつけはずし:私はバイクに乗ります。ヘルメットは頭にぴったり被るもの。ヘルメットをとるときは、正直外れます。なので、パーキングエリア、サービスエリアで休憩をとるときは、まずヘルメットを被ったままトイレ直行。ウィッグごとヘルメットをとり、ウィッグを被り直します。
  • 銭湯・温泉:銭湯も温泉も大好き。でも、かぶり物の衣類、たとえばセーターを脱ぐときは、セーターと一緒に脱げてしまいます。なので、まず個室(トイレ)に行き、かぶり物の衣類はそこで脱いでしまいます。ウィッグを被り直して個室を出ます。
  • 強風・満員電車:もちろん、頭を押さえます。冬はさらに帽子を被ることも。
  • 帽子ごと飛んでいった!:こどもたちとバレーボールをしたとき、帽子を被っていましたが、帽子とウィッグが同時にとんでいきました!すぐに被り直しましたが…まあ、こんなこともあります。
  • 蒸れる:暖かくなってくると、地毛でないので、やはり蒸れます。帰宅するとすぐにウィッグをとり、コットン帽子を被ります。
  • その他の毛:実は髪の毛だけではありません。眉毛も睫毛も、そして体毛も抜けます。睫毛がないので、風などが目にしみました。すぐに涙目になります。また、下の毛もなくなり、自転車に乗った時、クッションがない分、サドルにこすれて痛い目に遭いました…

6.  ウィッグ以外のかぶりもの

  • 帽子:私はマラソンをします。ある時、大会に応援にきていた私の帽子が地味だからどこにいるかわからないと夫が言い出し、娘がとっても可愛い帽子を買ってくれました。これで2015年のマラソンに出場しました。

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これも柔らかコットンの帽子。

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  • バンダナ:私はあまり得意ではありませんでしたが、大腸がんを経験した親戚の(お金持ちの)従姉妹はかつらを数種類持っていましたが、夏場だったので結局蒸れてかつらよりもバンダナですごすことが多かったようです。
  • スカーフ:スカーフをおしゃれに着こなしている友人がいます。いろいろ試せるので、病気の間もおしゃれを楽しめます。

ネガティブに考えず、いままでと違うおしゃれができる、と思えば楽しいですよね!

7.  ウィッグがいらなくなった日

厳しい冬がすぎ、春になり、芝生がちょろちょろ生えるように、髪が生えてきました。

少しずつ、少しずつ髪が増えてきて、

ついにベリーショートで地毛での再デビューを果たしました。

なかなか似合うでしょ?

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今後、再発したら、私はどうするでしょう?

再び抗がん剤のお世話になるのか?

いや、多分しない…

再度このウィッグをおしゃれ以外の用途で使うことがないよう、

食生活、健康には留意する日々を過ごしています。

これを読んだあなたが、「素敵に」そして

できるだけ「楽しく」辛い時期を乗り越えられるよう、

心から応援しています。

最近の写真。地毛です。でも、ウィッグも実は似合っていたな…と思うこのごろです。

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この記事を書いた人

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大野 清美

1958年大阪生まれ、大阪育ち。子どもの頃の夢だった「留学したい」を37歳で実現。3児を育てながら米国NY州コロンビア大学国際関係学大学院を卒業しました。帰国後は英語を使って仕事を続け、今後は「自分の人生を変えてきた」英語を教えたい!と修行中です。
趣味はマラソンとモーターバイクでのツーリング(愛車Honda VTR)です。
(2019年4月記)