スイス、バーゼルの街はスイス北西部に位置し、ドイツとフランスとスイスの3国の国境が接する地点にあり、市街地はライン川をまたぐ形で広がっています。
2015年8月28日、成田空港からほぼ一日かけて到着した翌日は土曜日、天気もよく、夫と共に早速街を散策しました。市街地は「ライン川をはさんで産業地帯である北岸(右岸)を「小バーゼル(Kleinbasel)、行政や商業の中心である南岸(左岸)を「大バーゼル」(Grossbasel)と呼ぶ」そうです。(Wikipediaより)
私たちのホテルは、産業地帯である北岸にあり、南岸にわたるには、いくつかの橋があります。その一つ、ミットレレ橋を渡っていると、川上からどんぶらこ、どんぶらこと、次から次へと人が流れてきました。なんだ、あれは、と思うと皆、「浮き」のようなものに掴まっているようです。
東京ではその週末、雨が降って寒かったようですが、バーゼルの週末は30度超え。スイスにしてはかなり暑い方です。
流されている人たちを「楽しそうだなあ」としばらく眺めていました。そのうちに、「ライン川で泳ぐってなかなかない経験じゃない???」という気持ちが盛り上がってきました。
インターネットで調べると、ライン川泳ぎはどうやらバーゼルの夏の風物詩になっているとか。泳ぐときには、どうやら、「ヴィッケルフィッシュ/Wickelfisch」という防水袋が必要だそうです。(以下、フィッシュと言います)「フィッシュ」は防水袋で、着替えなどを一式入れてしっかり閉じると空気も一緒に入り、そうすると、浮きになるのです。(ただし、浮き輪として利用しないでください、とも書いてありますので注意、です)
川の流れに流されて川下についたときに着替えはその袋から出して水から上がった場所から戻れるのです。元の場所に戻る必要がないので大変便利!!その瞬間に、すでに自分の心は「ライン川で泳ぐ」という一大事業?に向けて動き始めていました。
天気予報を見ると月曜日まで晴れ。気温も30度越えで火曜日からは寒くなるとか。決行は月曜日です。と、いうのは、バーゼルもヨーロッパの街、日曜日はお店が空いていないのです。つまり、「泳ぐ」ことなど想定もしていなかったのでまず水着がありません。フィッシュもどこで手に入れたらいいか、調べないといけません。
そこで、翌日、日曜日は夫の学会が主催したフリーのツアーに参加して「フィッシュはどこで手に入れることができるか」と聞いておきました。「川沿いの売店ならどこでも買えますよ」との話だったので、「よし、では水着を買ってライン川泳ぎに挑戦!!とさらに心に決めました。
月曜日、朝から気温も高く、格好の川泳ぎ日和です。
まずは水着。バーゼルの街の移動手段は「トラム」です。ホテルでは、外国人客にはその期間中、いつでも何回でも乗ることができるスイスパスをもらえます。ホテルからはショッピング街まで歩いてでも行けますが、今回は時間が大事なのでトラムを駆使します。
トラムを使うと市内ほとんどのところに行くことが出来、また、本数も多いので全く不便を感じません。それほど混んでいないことが多いのでたいてい座ることができます。
前の日に見つけておいた百貨店に入り、水着を探します。売れ残りですが、はい、ありました…ビキニが。
うーん、川の水はアルプスの雪解け水。いくら外気温が30度とはいえ、冷え性の自分には無理、しかもせっかく買う水着、できたら1回限りにはしたくない、という主婦根性も働き、パス。次に、やはり土曜日に散策したときに目をつけていた、もう少し「安い」日本でいえば「しまむら」的な雰囲気があるお店を訪ねました。そこにはスポーツコーナーがあったけど、やはりビキニ。しかも大きいサイズしか残っていない。
ええい、もう一軒、いくぞ、とばかりにもう一軒の「しまむら」へ。すると、ありました!やや大きいものの、ワンピース型。しかも、腰巻きスカートも別売。
一応試着してぶかぶかでないことだけ確かめ、値段もお手頃、水着15フラン(1800円ぐらい)、スカート10フラン(1200円ぐらい)。 そして、ビーチサンダル、子供用だけど、5フラン(600円ぐらい)。よし、これで水着は完璧。準備できたぞ、とばかりにいったんホテルに戻ります。
川泳ぎのためには持ち物も最小限にする必要があり、ホテルで水着に着替え、上にTシャツとランニング用のジャージスタイル。
着替えをすませ、あとは川沿いの売店でフィッシュを買うばかり。サンダルはいて暑いバーゼルの街に再度出かけました。
川に近づくと、川沿いを歩く人々がフィッシュを肩に担ぎながら歩いています。すれ違う人々に「フィッシュはどこで手に入れましたか、どこで手に入りますか」
と尋ねて回りました。ところがところが「もう季節も終わりだからないかもしれないよ」とか、「どこで買ったか覚えてないけど、僕のはフィッシュじゃなくてただの防水袋さ」とか、とにかく、持っている人みんなが「もうないよ」というではありませんか!! 売店にたどり着くも、やはり「もうないよ」。
そんなぁ!!!!ここまで準備したのに….1人が「Wobusなら売ってるかもね」と言うので、また、朝行った百貨店に。でも、そこはもう秋冬仕様になっていたし、なんといっても高級店の雰囲気。そんな店に売れ残りのフィッシュがあるとは思えません。百貨店は早々に退散し、衣類の店とか、その近辺の店を色々見て歩きました。そしてたどり着いたのが、「子供用品」の店。あまりなさそうだなあ、と思いつつ、店を一巡りして、ふと入り口付近を見ると「水遊び用品」が!!!! ありました!
小さなフィッシュです。大人の人が抱えているのは直径60センチほどのフィッシュですが、その半分ぐらい。衣類は多分ほとんどはいらないでしょう。でも、iPhoneとか、小銭とか、とにかく「金目のもの」だけでも入れたい! というわけで19.95フランでお買い上げ。「これが最後の一個だよ」って。そう、この季節、最後のフィッシュを手に入れたのです。
調べてみると、どうやら日本でも手に入るようです!夏にバーゼルにいくことがあったら持っていってね!
さて、フィッシュを探すこと1時間。時間は3時になってしまっていましたが、天気予報を見るとまだまだ30度越え。大丈夫、泳げます!ただ、フィッシュが小さいので、バスタオルとか、ジャージは入らない。川辺に置いて行くしかありません。要するに戻ってくる必要がある、とのことで、あまり「どんぶらこ」しすぎないことが大事です。
どこから流れるかを覚えておかないといけないので、街のどこからでも見える聖堂の向かいにあるあたりの川岸に荷物を置きました。フィッシュの中にはTシャツとスマホ、小銭入れとホテルの部屋のカードキーとトラムのカードのみ。
ガイドさんに教えられたのは袋の口は7回巻きなさい、ということ。でないと浸水して大変なことになりますよと。慎重に7回折り、ベルトをします。この時点でもうせっかくの自撮り写真は撮れません。しかし、すべてはライン川で泳ぐために。
Tシャツを一枚入れるとこんな大きさと形に。空気も入っています
サンダルは、悩んだのですが、履かずに川に入りました。履くと、サンダルだけ浮いて、川に流される恐れがあったためです。Crooksのようにひもがあるわけではないので。
案の定、足の裏は痛かったのですが、何とか入水。少し沖に向けて泳ぐと、フィッシュはうまい具合に空気を含んでいい浮きになり、顔が水に浸かることはありません。
かえる足で川の流れに沿って泳ぎだすと、これがなんと快適なこと!流れはそれほど早くなく、水温もそれほど冷たくありません。大きな船には近寄らないよう、川の流れの中心まではいかず、まさにどんぶらこ、どんぶらこです。
荷物を取りにもどる都合上、橋を2つぶんぐらい500メートルぐらい流れ、一度川岸に上がり、出発点に戻りました。その時は裸足で川縁を歩きましたが、コンクリートの舗装路でもかなり暑くなっていて、やはりサンダルは必要だった、と実感。2度目の川泳ぎ(気持ちよかったのでもう一回川下りをすることに決めた)にはフィッシュにぎゅうぎゅうにサンダルを詰め込みました。(これも浮き代わりになるのでちょうどいい)
フィッシュは適度にふくらみ、浸水もありませんでした。
川泳ぎ、大成功です!!!
こうしてバーゼルの夏の風物詩といわれるライン川泳ぎは「粘りと執念?」によって実現。あー楽しかった!!